夏期集中講座を終えて

去る8月24日、25日の2日間に渡り、造士館講座夏期集中講座を開催いたしました。沢山の御聴講をいただき、誠にありがとうございました。

ご協力いただいた各先生方に心から感謝の意を評しつつ、講座の内容をご報告いたします。

主催者

①2019年8月24日(土) 
講師 福田忠弘
 (鹿児島県立短期大学教授)  
テーマ「海を耕した代議士・原耕の業績」

 

 膨大な資料の山から原耕の激動の生涯を浮き彫りにしていただきました。一流の医者、一流の漁師、そして政治家としてのスケールの大きな構想力と実行力、地域振興にかける無私の精神、それを支えた人々との絆等々、人間ドラマを見せていただきました。
 原耕と福田先生の出会いは、御著書『海耕記』や日常の授業を通して、彼のグローカルな生き方を世に知らしめる意味で、まさに時代を超えて結ばれた絆であると思います。

 
②2019年8月24日(土)   
講師 泉武臣(弁護士)    
テーマ「鹿児島のえん罪事件」 

 

 高隈事件、志布志事件、大崎事件を通して、「虚偽自白と、それによる関係証拠の説明がえん罪作る温床」、それを覆すことの困難さを話していただきました。法治国家であればこそ、基本的人権が保障されなければなりません。何よりも権力を有する法の番人には強い人権意識が必要であり、その保持はすべからく「全体の奉仕者」に共通する責務であると思います。

 

③2019年8月25日(日)     
講師 大富潤
 (鹿児島大学水産学部教授)   
テーマ「食べて美味しい深海の希少魚たち」

 「錦江湾の最大の魅力は深海底にある。内湾で深海は、日本でここだけ」、次々に飛び出す耳慣れない魚名と料理、その後に決まって「大富はすでに食べました」の言葉。

「錦江湾は深海魚の宝庫」、「魚屋は地域の運動会」、「地魚を食べることで私たちの海を大切にしなければならないという気持ちが強くなり、それが海を守る力になるのです」と。

 

身近にあるのに知らない、しかも知らないことを知らない、そのことを実感するとともに、それを知ることの面白さを味わいました。

 

④2019年8月25日(日)   
講師 浜本麦
 (くすの木自然館専務理事)    
テーマ「こんなにすばらしい鹿児島県」

 

 重富海岸がかつての美しい干潟を取り戻し、松林も含めて霧島錦江湾国立公園に組み込まれるまでの実践活動。「あって当たり前の自然はない、知って大切にしたいと思える人がいないと壊れ、荒れます」、具体的な実践に裏打ちされた言葉が胸を打ちます。「鹿児島のすごいところを知ろう、好きになろう、自慢しよう」、そのポジティブな姿勢は、たくさんの「こうしたい、こうありたい」という気持ちに火を点けて広がっていくと信じます。