10月講座レポート

2021年10月23日(土) 
南徹(みなみとおる)先生
(南アカデミーiBS外語学院 代表取締役学院長) 
テーマ「対話学 : 亡国とは対話のない社会」

 

ネット上には無限の情報、しかし、本当に役立つ情報は対話の中にある。豊かな日本、自殺者が4万人を超えた。日本に何が起きているのか。かつて、日本には対話の巨人、達人がたくさんいた。どうして鹿児島で、日本で、言語音痴が増えたのか。このままでは日本は間違いなく亡びる。

「日本ほど素晴らしい国はない」、アメリカ留学中に教授から教わった。教授の教えた日本の素晴らしさが私を支えた。私たちには、次の世代に日本の素晴らしさを伝える役割がある。1980年、学院創立。学生には、海外に出て、日本を見て、その素晴らしさを世界に伝え、さらに日本にない世界のすばらしさを日本に持ち帰ってほしい、夢は、育てた若者がアメリカの大統領になることだと熱く語られた。年に2回、学生が研究してきた日本文化を英語で世界に発信するプログラム(英語スピーチライブ)を実施しているとのこと。話の途中で、47期生の岡さくらさんが「31音の恋」と題して、和歌の世界を英語で紹介、内容の深さと誠実な話しぶりに感動した。

「やまとうたは人の心を種としてよろづの言の葉とぞなれりける」(『古今和歌集仮名序』紀貫之)とあるように、言葉が世界を作る。ドラえもんの「どこでもドア」を開くカギは対話である。言葉は4つの対話からなる。①他人との対話(聴く力)、②自分との対話(考える力)、③自然との対話(八百万の神々との対話・自然に学ぶ対話)、④異文化との対話(未知や多様性を理解するための普遍の対話)、「日本の文化は全てが対話であり、対話が教養であった」と。対話を柱に、教育論、文化論、人生論へと話は広がっていった。対話を重ねることで、言葉が担う文化を理解し、自分や世界に対する認識を深めていく。それは普遍性を目指し、調和を志向することである。郷中教育の「詮議」がまさにそうであり、勝ち負けを意識したディベートとは異なるとのこと。

「自国を知らずして国際人を名乗るなかれ、そのために英語を利用せよ。英語を使って世界を闊歩せよ!」という言葉に、「鹿児島をもっと知る」を目指す本講座の趣旨が重なった。