2020年10月24日(土)
山本敬生 先生
(鹿児島県立短期大学准教授)
テーマ「18歳選挙権を問う」
「若い人の意見を現在と未来の我が国の在り方を決める政治に反映させていくことが望ましい」として、満18年以上の者が公職の選挙の選挙権を有することになった。しかし、若者の政治離れには一向に歯止めがかからない。講座では、その理由を「現実の政治課題の見えにくさ」「投票への抵抗感」「政治家との距離」「(政治家より)メディアの信頼性」に求め、若者の政治に対する意識を通して、戦後、我々が実現に努めてきた民主主義、法治国家の在り様について厳しい指摘があった。
「なぜ、若者は選挙に行かなければならないのか」について、「民主主義の実現」「法治国家の実現」「政治家の独裁者化の防止」のためとして、「イェーリングの言葉(『権利のための闘争』)」を借りて、選挙権を行使しないのは倫理的自殺であり、自らを動物に貶めることだと断じ、欧米のような権利獲得の歴史を持たない日本人、「和を以て貴しとなす」日本人の危うさを危惧された。
一方で、「ハチドリのひとしずく」を例に、「権利の上にあぐらをかくな」、「草の根民主主義」の推進等、「若者への提言」があった。
受講者から、高等学校、中学校、小学校において、「政治的教養」をどのように育むのか、とりわけ、高校生が、国家・社会の形成に主体的に参画していくための教育実践が大切ではないかとの声があった。