2月講座レポート

2023年2月11日(土) 
中村朋美(なかむらともみ)先生
(フリーアナウンサー)
テーマ「聞く力・話す力」

 

 

    耳に心地よい声のトーン、よどみない滑舌、言語明瞭。時折、鹿児島弁を交えながら、目線だけでなく顔や身体が受講者に向き合った。前回(2021年度)同様、「バーバル(言語)コミュニケーション」と「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」の実践。

「ありがとうございます」を使う人が増えてきた。過去形の「ありがとうございました」に対して進行形、関係が繋がっていく感じが出る。年下から年上に「ありがとうございました」は、マナーとして良くない。年下が勝手に話を終わらせることに。すべてが完了した時点で「この度はお世話になり」の意味を込めて使うもの。「お掛けになってお待ちください」は、最近、サービス業で「お掛けになってお待ちいただけますか」と疑問形で。「ください」は命令口調になるので、マナーとして目上の方には控える。実は「give」と「please」の違い。「よろしければお掛けになって、どうぞ」と「please」の意味が本来。疑問形にすることで柔らかさも。「あんたはいくつね」「また飲むの」も、言い方ひとつ。語尾に「笑み」というスパイスが肝心。マスクの下を笑顔にしてほしい。「いらっしゃいませ」を「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」に変える企業が。声をかけられた時、返すことのできる言葉が必要。「いらっしゃいませ」には返す言葉がない。夕方のニュース番組を担当した経験から「こんにちは」「こんばんは」の使い分け。潮汐表に基づいて、日が落ちているかどうかの肌感覚で対応した。

    「きれいに話したい、聞き取れるような発声をしたい、滑舌よくしゃべりたい」、そのための秘密。四つのアクセント(頭高・中高・平板・尾高)の紹介、平板化の傾向、優しく聞こえる無声化や鼻濁音の説明。横に表情筋が動く「イ・エ」の母音、そして声がつややかになる発声法の練習、「アイウエオ・イウエオア・…・オアイウエ」の表情筋の訓練、スピードアップして「カキクケコ」「サシスセソ」へ。お口の体操は頭の体操にも。ご自身が始めた異業種・異年齢「塾」の1泊2日研修の逸話を通して、相手の気持ちを慮ること、その場の空気を読むことの大切さを強調。「正しいか正しくないではなく、どういう言い方をするか、少し考えるだけでコミュニケーションの取り方は変わる気がする」と結ばれた。受講者からは、方言や共通語等、言葉に関する質問や意見が多数あった。