7月講座レポート

2020年7月18日(土) 
加藤紳 先生
(タツノオトシゴハウス代表取締役)  
テーマ「『タツノオトシゴ』と生きる

 

 

教室の入り口に、小さな水槽に入ったタツノオトシゴが2匹(百聞は一見に如かず)。授業の途中で、突然タツノオトシゴの着ぐるみ姿に。乾燥させたタツノオトシゴが回ってくる。魚類、ヨウジウオ科、タツノオトシゴ属内に約50種。古来、幸運の守り神とされ、縁結びや安産のお守りでもある。メスが産み渡した卵をオスがふ化させて出産する。オスの育児嚢(のう)に産み渡す折、二匹がつくるハートマークのシルエット。擬態・保護色を駆使してひっそりと生きる海の忍者。興味深い生態が次々に写真や動画で映し出される。

ニュージーランド海洋保護区の生物多様性とタツノオトシゴとの出会い、オーストラリアの養殖場での研修生活、大学院での研究を経て、南九州市「番所自然公園(伊能忠敬が天下の絶景と絶賛した景勝地)」内で観光養殖場「タツノオトシゴハウス」を経営。完全養殖に成功し、大量生産技術確立による事業化を目指している。

タツノオトシゴに没頭する生活は、様々な活動を通して広がりを見せる。磯焼けを防ぐため鹿児島水産高校の生徒たちと一緒にウニの駆除、地元の別府小学校の児童とサンゴの育成、地元の水産振興会と杉の間伐材を利用しての藻場づくり。最近はYouTubeで「『海とさかな』自由研究・作品コンクール 特別授業『タツノオトシゴ』」を公開。環境、観光、教育、地域活性、人と人がつながりながら活動が広がっていく。パワーポイントの最後の画面「海が元気になれば、人と地域が元気になる!ありがとうございました。頴娃町へお越しください!」に思いが集約されていた。