10月講座レポート

丹羽謙治先生の講演写真

2026年10月17日(土)
丹羽謙治(にわけんじ)先生
(鹿児島大学法文学部教授)
テーマ「私説・鹿児島県図書館史」

丹羽謙治先生の講演写真

 

日本近代の公共図書館の黎明は、明5に文部省書籍館(東京湯島 博物館内)、明6に京都書籍院。鹿児島の公共図書館の最初は、根占図書館(明17、神山小学校内)、社員から年会費を徴収、社員外からは「見料」を徴収。「根占書籍舘規則」第一条「本舘ハ多ク書籍ヲ貯蔵シ広ク公衆ノ観覧ニ供スル者トス」、第十六条「本舘ノ書籍ハ総テ見料ヲ出サシムベシ 則チ左ノ如シ」、「原価壱円以下ハ一日金四厘~(中略)~五円以上ハ一日金壱厘」、高価な書籍ほど賃料が安いのは、たくさん借り出してほしいとの意図か?教科書的、啓蒙的なものがほとんど。小学校を出たような人が、本を通じて学んでいけるよう、初歩的な目録から出発。現在の南大隅町立図書館のルーツ。

鹿児島県私立教育会附属図書館は二番目に鹿児島にできた図書館。明治の終わりまで二つしかない。蔵書の数は、1万3千冊。根占図書館は千冊に満たない。教育会は半官半民の教育関係者の団体。県知事が会長。中学造士館の建物の3棟を貰い受け、県庁の敷地を借りて、明35年8月に開館。明42に私立鹿児島図書館と名称変更、明45に鹿児島県立図書館に移管。明43から、地方への巡回文庫開始。県立図書館の初代館長は片山信太郎(36歳)、郷土資料の充実に尽力。「今日の本県図書館の図書がお国ものに富んでいるのは一に氏の努力の賜物で~」(鹿児島新聞)。図書を増やすには、購求・寄贈・保轉(保管転換)・自製(筆耕から購求)。2代館長奥田啓市は、郷土資料のさらなる集積。大正に入ると、雨後の筍の如く各地に図書館。4年に私立川内図書館、種子島に記念図書館、加治木町立図書館など。大正4年は大正天皇の即位式、それを記念して鹿児島県立図書館御大典記念文庫設置。昭2に新図書館落成、併せて全国図書館大会。昭4に与謝野寛・晶子夫妻来鹿、各地で講演会、高千穂登山も。3代館長は加治屋哲、戦時下の図書館業務、書籍・資料を戦災から守る。『加治屋日記』に、「全国府県立図書館は二十二館焼けました。九州では宮崎、佐賀、鹿児島だけが完全で他は全焼又は倒壊しました」と。鹿児島県は戦前の資料が全部残っている、大事にすべき。「県立図書館は鹿児島の近代を学ぶための記念館」と結ばれた。貴重な資料に基づき、様々な人物とその足跡を紹介いただいた。