6月講座レポート

2026年6月13日(土) 
福留一郎(ふくどめいちろう)先生
(九州経済研究所執行役員経済調査部長)
テーマ「最近の経済情勢と今後の展望」

 

 

 

 構成は「鹿児島経済の実態」「直近の注目テーマ」「物価・賃金・金利」「人口と経済」「まとめ」。豊富な統計資料に基づく分析が始まった。最初に「鹿児島県の景況感」、2023年以降横ばい傾向、ただ二極化が進んでいる。原因は賃上げと人手不足。本県の価格転嫁実施企業67%、他社との競争が激しいため価格転嫁が十分できない58%。賃上げへの対応も二極化。採用計画の一番に初任給引き上げ。労働時間規制緩和への意識、AIの活用状況、中東情勢の影響等の説明。まとめとして、鹿児島経済は回復しているが二極化、コスト高が重荷、価格転嫁は進めているが転嫁率は不十分、賃上げに息切れ感、AIへの期待大きいが実装はこれから、中東情勢の影響長期化を懸念。明るい話題は本県農林水産物の輸出の伸び、畜産物・水産物・農産物。日本一のかごしま茶の課題と挑戦、構造的課題は①供給力(てん茶偏重リスク)、②内需(じわじわ効く)、③ブランド保護(日本産の時代へ)。ゴールではなく転換点、「量の維持・ブランドを守る・内需を取り戻す」を同時に育てるステージへ。クルーズ船の回復と変化、フィジカルAIの足音に言及しながら共通するメッセージは「外部環境の変化をどう受け止め、どう行動するか」。鹿児島の物価は最安クラス、金をかけないでも楽しめる住みやすい地域。

「人口が減っても経済は縮まない」、人口減少の負の影響を、生産性上昇の力で取り返す力がかなり大きい。「実質GDP成長率と生産性」、鹿児島の生産性は全国よりも高い。しかし、鹿児島の実質賃金は、生産性が上がっても減っている。儲かっても溜め込む大企業、非正規雇用への依存拡大。「合成の誤謬」(ミクロの視点で合理的でも、マクロの視点では非合理的)。大企業のない鹿児島、なぜ実質賃金が低いのか、GDPを生産・分配・支出から「三面等価の原則」、本県のGDPは6兆円ぐらい、2017年から5年間で9.9%増加、分配面で比較すると賃金は9.7%増加、企業所得は5.4%減少、税金も増加。消費は5.5%ぐらいしか増えていない。稼ぐ力が弱まっている。農業のスマート化など中間投入の効率化、観光の地域資源活用など県内自給率の向上、半導体やDCなど産業の高度化が求められる。

 最後に、三つの論点「①地域経済はどことつながるか ②インフラ・地域資源をどう使うか ③政策環境をどう取り込むか」を示し、環境は変えられないが意思決定は変えられると結ばれた。