10月講座レポート

2023年10月21日(土) 
灰床義博(はいとこよしひろ)先生
((財)日越教育・交流協会専務理事)
テーマ「多文化共生社会の実現を目指して‼」

 

時代は国際的な「交流」「協力」の2本柱から「共生」を加えた3本柱へ。「多文化共生」とは「国籍等の異なる人々が、互いの文化的差異を認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」(総務省報告書2006.3)。コンビニやホテルで外国人スタッフに接する機会が日常化。ご自身も、令和3年度からいちき串木野市の「多文化共生推進懇話会」で「多文化共生推進プラン」づくりに携わる。「多文化共生」が一層身近に。様々な分野でのグローバル化・ICT化の進展、国内の人口減少・少子高齢化の進行、更に在留資格「技能実習」「特定技能」の創設などによる外国人住民の増加・多国籍化等、社会経済情勢の変化に起因。鹿児島でも、労働力確保の面からだけでなく、地域社会を維持していくため、その構成員・担い手としての外国人住民のウエイトが増大。多文化共生社会の実現を目指し、どのように取り組むべきかが今日の命題。
 外国人雇用の届出状況、国籍別、在留資格別、産業別の紹介。「特定技能」が増加、「技能実習」からシフト。鹿児島は、「技能実習」が最も多く52.7%、産業別では「製造業」「農業・林業」の順。1993年創設の「技能実習制度」は、我が国の技能、技術又は知識を開発途上地域等へ移転することにより「人づくり」に寄与が目的、在留最長5年。2019年、深刻化する人手不足への対応から「特定技能制度」創設。両制度の見直し、4月に中間報告書。今秋に最終報告予定。論点は、目的と実態(人手不足を補う労働力)の乖離、日本語能力不足による意思疎通の困難性、監理体制や支援体制の不十分等。新制度では、入国時の日本語能力の一定水準確保、入国後の日本語能力試験の上位級合格義務化、そのため行政の財政的支援、勤務先でのインセンティブの付与等を必須として、日本語能力の向上が喫緊の課題と強調された。

多文化共生社会実現のため、各自がプレイヤーとなり気負わずに実践していくことが大切として「(財)日越教育・交流協会」の取組について日本語教室を中心に紹介、次いで「いちき串木野市多文化共生推進懇話会」の「多文化共生推進プラン」を説明、鹿児島らしい「多文化共生社会」の実現に努めるときと結ばれた。豊富な資料、ご自身の実践活動に基づき、パワーポイントを使って丁寧な説明をいただいた。