6月講座レポート

2023年6月10日(土) 
奈良迫英光(ならさこひでみつ)先生
(観光・地域づくりアドバイザー)
テーマ「観光振興は誰のものか~持続可能な観光、量から質へ~」

 

レジュメと資料、パワーポイントを使って熱のこもった丁寧な説明、話のポイントは五つ。(1)「日本の置かれた現状」、地域、経済、世界の動き。(2)「観光振興が求められる背景」、観光の価値、旅行支援の意義。(3)「鹿児島における観光の現状」、県内の地域の現状。(4)「持続できる観光地」、量から質への転換。(5)「これからの鹿児島の観光の課題」。次々に具体的事例を挙げながらの説明に説得力があった。

 

(1)顕著な人口減少、DX社会への対応。①平成の大合併で市町村数半減、地域の活力維持・労働人口維持が課題。②米中の新冷戦時代へ、国土保全が重要課題。③石油の世紀からデータの世紀へ、経済の仕組みの変化。④ネット社会到来。⑤情報の可視化進行。⑥インバウンドの増加。

(2)ものづくりから地域資源の価値創造へ。①経済波及効果の大きい観光。②アフターコロナを見据えた観光地・観光産業の再生へ。世界戦略の柱・地方創生の切り札。③観光産業は救世主。地域社会産業・地域の多くの産業を繋げ、経済を循環させる力。地域の生活文化、人の魅力を伝えることが大事。旅行会社主導から地域主導へ、団体旅行から個人の趣味・趣向としての「体験・交流」へ。地域の魅力発信が鍵。

(3)南北600キロ、各地域に多種多様な観光資源、多彩な農水産物、多様な自然等。観光地(宿泊地)は周囲を含めたPRを行政と民間と一緒に。外国人宿泊数は、東アジアから8割、欧米からの富裕層が少ない、福岡空港からのシャワー効果が大事。

(4)「SDGs」への取組・地域資源の価値変換、グリーンツーリズムをはじめ、スポーツ、ヘリテージ、ロケ、インフラ、エコ等々、社会的に有用なものの活用。地域産品のブランド化が不可欠。地域全体の魅力を創出し人が自ら動く仕掛けを。富裕層・外国人の求めるステージの提供。地域住民・来訪者・自然が共生・持続できる街づくり(SDGs)、地域住民が観光の有用性を享受できることが大切。

(5)県民が県内の魅力を知る、そのためのデジタル化やSDGsへの積極的対応。増加するインバウンドへの対応。スポーツツーリズム推進。コンベンション誘致。海外4路線再開。文化観光等、量より質への転換。「南の宝箱」のPR。観光関連産業の経営基盤と労働条件改善。機動性のある組織づくり等々。そしてポスト23年対策。

観光振興は県民一人一人のためである。少ない投資で大きな経済効果を創出するのが観光の魅力と結ばれた。