12月講座レポート

2020年12月12日(土) 
山田誠(やまだまこと) 先生
(鹿児島大学名誉教授、元法文学部長)  
テーマ「南九州の要石(かなめいし)は鹿児島の空港―21世紀鹿児島の開発を構想する―

 

地域の結節点としての役割を有する鹿児島空港、ここを変えれば(空港一点に集中することで)、他に大きく影響する(外へのインパクトを際立たせる)と。空港整備計画の1次・2次について検証しながら、2019年11月発表の『空港将来ビジョン』は、従前の計画を基本的に受け継いでいると整理された。そのうえで、要は、「鹿児島を軸に据えて、鹿児島空港の認知度を高める取組こそが最重要」。偶然的な巡り合わせでもある仕掛ける側(小)と受ける側(大)の関係にあって、小さな本気が周囲を巻き込み、遂には大きな広がりとなり全部を動かす。最近の事例として、バリアーの性格を持つ社会の通年を覆して、大人・高齢者を引き込んだ映画「鬼滅の刃」を挙げ、さらに卑近な大転換の例として「元(はじめ)ちとせさんの奄美愛は、本土の人々に共感を抱かせ、奄美の人々に自信を湧き上がらせた」と説明された。

これからの「鹿児島空港」つくりが、これらの転換例に倣ったとき、「元のウタ活動に相当する存在や活動に着手できるかが問われる」とのこと。長期ビジョンに欠けているのはソフト面であり、ソフトが展開できる空間づくりが必要、「鹿児島空港圏域の認知度を上げる地域・空港空間のイメージ要素例」として、「独自の自然を際立たせる旅行プログラムや売り込み作戦」、「地域の特色ある文化の体験」等を提示された。「元のウタ活動に相当する発想の転換を生み出すには、分析力と柔軟な感性の結合という難しい局面が浮上」、「若い人が継続的に参加することは大切」、「3~5年ごとに、利用者アンケートに基づき一定割合のテナントを入れ替えるというのも一つの戦略」と熱っぽく語られた。