2月講座レポート

2025年2月15日(土) 
陶山賢治 先生(MBC開発代表取締役)
テーマ「昭和100年の節目に~この国の未来像を考える」

 

 

   昭和100年の節目の年、昭和24年生まれ、12月に後期高齢者になった。元号の区切りは日本独特、元号が変わることで鬱屈、沈殿したものをチャラにできる。「水に流す」不思議な力がある。昭和100年、私たちはどういう時代を生きてきたか、どこで道を間違え、間違えていないのか、考えるきっかけに。今年は明治維新157年、昭和20年まで77年、そして戦後80年。前半は戦禍、どの時代が準備したのか。明治は血沸き肉躍る時代、そこから大正へ、文化芸術に造詣が深い大正天皇、時代の空気が変わる。大正ロマン、大正デモクラシー、開放的で大衆が声を上げ始めた。集団就職の始まり、地方から都市への人口流出、サラリーマンの登場、女性の社会進出、藩閥政治から政党政治へ。第一次大戦、日本の極東地域進出、シベリア出兵、大正の15年間に11の内閣。汚職の頻発、貧富の格差、労働争議、治安維持法、関東大震災、経済恐慌、世紀末的空気。政治への不信と軍への信頼。大正時代が、その後の戦争を準備した。現在、エモーショナル、情緒的気分的なデモクラシーの席捲。新たなる大正時代では。 

    今年1月現在、日本の人口は1億2359万人、100年前が6070万人、団塊の世代は毎年260万人出生。昨年の出生は68万人、特殊合計出生率は1.20。昭和41年(1966)に1億人超、高齢化率6.6%。2004年12月にピーク1億2784万人、高齢化率19.6%。2050年9515万人、高齢化率39.6%。後を追うドイツ、韓国、中国、フランスの先行モデルに。子どもの貧困、東大の入学者の6割以上が首都圏出身、親の平均年収1000万円超。格差拡大のつけを子どもに、格差の世襲、希望格差、発展途上国以下。子どもの数が減っている上に格差が広がっており、私たちは明確な手立てを持たない。幸福度調査で日本は世界143ヶ国中51位。幸福感、生きている実感、新しい物差しが必要。老いに対するアプローチ、幸せ、満足、充足、100年経った私たちが向かうべきは、私たち自身のハンドルを切り、パラダイムを変換、私たち自身の幸せの物差しを思い切って変えていく、そのためにライフスタイルをどう変えていくかを抜きにしては語れない。最後に、明治10年代に書かれた『日本その日その日』(E・S・モース)の一節を紹介、「日本には貧乏人は存在するが貧困はない」、この言葉を再解釈すべきではないかと結ばれた。