12月講座レポート

2019年12月14日(土) 
福森伸 先生
 (知的障がい者支援施設 しょうぶ学園統括施設長)  
テーマ「しょうぶ学園の美意識エンパワメント2019
-人間の本来持っている力とは-」

 

 

理念と実践のみごとな融合に感服しました。映像を使いながら、具体を通して語られる言葉が一つ一つ腑に落ちました。前回(11/23)、南日本新聞社の豊島編集部副部長の「連載『精神障害とともに』と、その後」では、地域に住む患者を地域で支える共同体づくり、そのための意識改革の必要性が強調されました。

 

しょうぶ学園は「ささえあうくらし」「つくりだすくらし」「つながりあうくらし」の3分野を柱に様々なプログラムを提供しています。「障がい者とともに生きる」、「地域に開かれた施設」を実践しているしょうぶ学園、「障がいを持つ人とは」の先に、職員も含めた「人間とは」というテーマを掲げていると語る施設長、「利用者を通して、人間としての生き方を見返している」という言葉が説得力を持ちます。

 

「自分が障がい者であることを認識していない人を障がい者と呼んでいる私たち」、「健常者が持つ欲望という障害」、「表現力が高くなると社会性が低くなる」、「障がい者にとって大切なのはプロセス、造形していること自体が生きている証」、「一途になることの美しさ」。そこから、互いに「できること」と「できること」をかけあわせていく利用者と職員の姿が浮かび上がります。

 

一方、標準性を求める社会のシステム、そこに人間としての在り方まで取り込んで横並びを求め、ひたすら「頑張れ」を叫び続ける社会。「基準をなくすること、横並びをやめること、今日も明日も頑張るのはハッピーではない」、言葉の一つ一つを通して、「共生社会」実現のために多様性を認めることの意義を再認識しました。